今日は珍しくすごく夢見が悪くて、朝から少し落ち込んでしまいました。
最近は夢を見ること自体が珍しいので、記録しておこうと思います。

私は会社に向かおうとして、いつものように車を走らせている。
普段よりも二時間くらい早く家を出たので、早朝気になるところを散歩するのも楽しいかも、と思って、ある路地の近く(現実にはない場所)に車を止めた。
そこはファーストフードの駐車場なのだけれど、音楽を愛する団体とかいう若者の集団が勝手に集まっては周囲の住民に迷惑をかけているらしく、彼らを糾弾する内容の看板がそこら中に立っている。若者はどこにもいないのに、近所の主婦らしき人がプラカードを持って、誰もいない方向へ子供が眠れないだとか、私たちの権利を奪わないでとか、私が不幸なのはあなたたちのせいですとか、被害妄想を涙ながらに訴えていて、その人の惨めさに暗い気持ちになりつつ、私は路地のほうへ歩いていった。
路地は幅一メートルくらいで、両側には木造の日本家屋がひしめいている。どの家も廃屋寸前といった傾きようだけれども、人が住んでいる感じはする。路地に入ってすぐの右手の家は、小さな揚げ物屋のようで、「五時より注文お受けいたします」という手書きの張り紙が窓に貼ってあった。その張り紙の左側がわずかに開けられていて、その奥には使い込まれた調理器具が見えた。夕方になったら、もう一度来てみようと思いながら先へ進むと左手に崩れた家があった。それを見ながら、ここにも人が住んでるんだよね、こういう雰囲気のところ好きなんだ、と自分に話しかけた。(道を歩いている私を私が後ろから見ている感じ)
それからまた歩いていくと、右手の家の玄関に貼り紙がしてあった。すりガラスに貼られたそれは茶色く変色していて、ずっと前からそこにあったようだった。その紙にはマジックで「この道には痴漢が出ます。追いかけられて怖かった。近所の人は誰も助けに来なかった。あいつら家の中にいるのに。ばかやろう。」と書かれていた。それを読んで、ああ、嫌なところに来ちゃったかも、と思って、先の方を見ると、知らない間に道が急な坂になって続いている。貼紙の文字はたどたどしくて、でも長いこと貼ってあるその執念が気持ち悪かった。ふと、駐車場にいた女の人の家なんじゃないかと思ったけれど、それ以上考えたくなかったので、先へ進もうか、危なそうだから帰ろうかと考えることにした。
しばらく考えてみたけれど、まだ朝だし、大丈夫と根拠もなく判断して、先へ進むことにした。
坂を上っていくと、左手に二階建ての家があって、そこで路地は終わっていた。けれど、二階くらいの高さのところから道が見えて、行き止まりの壁はよじ登れそうだった。
道の先が気になったので、壁を登るため、二階建ての家の前を通ると、初老の夫婦が狭い庭先にいた。奥さんらしき女の人が垣根越しににこにこ笑いかけてくるので、私もおはようございますなんていいながら笑い返しつつ、取りすぎようとしたら、家の中から喚き声が聞こえた。
驚いて足を止めるとその人が近づいてきて、「娘がいるだけです。なんでもないんですよ。あの子は可哀相な子なんです。」と言った。女の人の話では、娘さんは少女時代におかしくなってしまって、そのままずっと家で暮らしているらしい。とりあえず先へ行こうと壁に上りかけると、両親の間をすり抜けて、件の娘さんが表に走り出てきた。
その女性は両親よりも老けた印象で、顔が皺だらけで一見老婆にみえた。腰まである髪は汚らしい灰色で、着ている服は以前は白かったらしいぼろぼろで黄ばんだワンピースだった。彼女は私を見るとにたーと笑って「おねえちゃん、一緒に遊ぼう」と子供の口調で言った。気の毒とは思いつつ、正直気持ち悪かったので曖昧に笑うと、母親が彼女を家の中へ入れようと腕を掴んで背中を押しつつ私に「ぜひ**子(その人の娘、名前は起きたら忘れてしまった)の友達になってやって下さい」と、早く先へ行きなさいという目配せをしながら言った。
母親はまともそうだったので、ああよかったと思っていると、娘を溺愛しているらしい父親が私のほうへ近づきながら「**子よかったなあ。友達が出来て」と本当に嬉しそうに言ったので、父親に捕まったら怖いと思って、逃げるように壁を登った。
壁を登るとその家のベランダ部分がみえた。ベランダの物干しには青い子供用のワンピースが干してあった。するとさっきの女性がベランダに出て、そのワンピースをむりやり被ると、「わたしアイドルになれる!」というようなことを叫んでふらふらと踊りだした。その様子をみた母親は熱っぽい感じで「**子ちゃん!とっても上手よ!ああよかったこれでなれるわねえ」などと大喜びしだした。父親は庭のところでひとりへらへらと笑っていた。なんだかその家の住人はみんなおかしかったのか、むしろ両親がおかしかったからあの人はこんなぼろぼろの家しかない路地から出られずに、狂ってしまったんだと感じたので、気味悪く思うのと同時に悲しくなった。
壁を登っていくと、路地が入り口のほうまで見えた。歩いているときは風情があると思っていたけれど、上から見ると、ただの廃屋の連なりにしか見えなかった。よく目を凝らしてみると、あとで行ってみようと思っていた揚げ物屋さんのガラス窓がさっきよりも開いていて、中にがりがりに痩せた陰気な老婆がいるのが見えた。老婆は節くれた茶色の指で、油の中にちゃぽんちゃぽんと何か汚らしいものを入れながら、こちらを見てにやにや含み笑いをしていた。
他の家々の中にも人がいる様で、姿は見えないけれど、気配があちこちからしていた。
あの老婆もそこらじゅうの気配も、私が路地を入ったときからずーっと気づかれないようにこちらを見ていたことに気がついて、ぞっとした。

そこで目覚ましが鳴っていることに気がついたので、ああこれで逃げられると安堵して起きました。
叫ぶような怖い夢でなくて、じわっとした気味の悪さがある夢だったので、起きてからも気分があまり晴れず、午前中は悶々としてしまいました。それにしても、人の言ったこととか貼紙の文言をはっきり覚えているのが嫌です。

長くて気持ち悪い話だったので、バトンをやって気分転換をします。
奇妙な夢を見たのは、昨日久々に名古屋に行って、疲れたせいもあったのかもしれません。