文学フリマで手に入れたもの続き。(敬称略・机に積んである順・購入動機とかちょっとした感想とか)
手にいれた〜というのは無料でもらったものも買ったものもごっちゃになってしまったためです。

海 詩誌3  marinz(満影&やすまる)
…こちらのサークルさんはポエケット豆本祭りでもお見かけしたところ。心の中でまたお会い出来ましたねと思う。中々ちゃんと話しかけられない小心者。海をテーマにした詩集。自分でも海はよく使うモチーフだけれど、他の人にとっての海の様子は新鮮。「そらに」「あさらしきもの」がとても好き。裏表紙の”年・組・名前”欄がなんだかかわいい。

ボストンマリッジ経帷子 三五千波
…漫画です。鳩山郁子とか楠本まきのような繊細な線。表紙におっと思って中を開いてみて、文字を追わないうちにこれだ!と思う。「恋人は見つからない/わたしはもうすぐおばあさんになる」というところが現在進行形で哀しい。

漫画の手帖 no.54
…漫画とアニメのいろいろな話。表紙の絵がふくやまけいこさんかなと思って買ったら違ってた。「鼠のお話」という漫画がなんだかお気に入り。「森安かぶれ」は「ボストンマリッジ〜」の方が描いている漫画だったけれど、タッチがちょっと違ったのでしばらく気が付かず。貸本漫画のことは、最近

戦後少女マンガ史 (ちくま文庫)

戦後少女マンガ史 (ちくま文庫)

を読んだのでタイムリーだなあと思う。
とにかく字がぎっしり詰まっている小冊子なので、まだ読んでいないところもたくさん。あと、成人向け漫画の記事もさらっと入ってくるので読む場所に気をつけたい。
そういえば、漫画家の高室弓生さんの名前が一コマだけど「同人誌界血風録」という漫画に出ててなんだかうれしかった。

漫画の手帖 no.55
…表紙の絵の勢いで買う。「三山のぼるというひと」というエッセイ漫画がしみじみいいなあと思った。取り上げられている漫画家さんを知っているわけじゃないけれど、夫婦のありようというか、そういう暖かなところが。
あと、蛭児神健の日常[元]というコラム(エッセイ?)のキリスト教についての話がおもしろかった。
そして唐突にあわられる成人向け記事に焦る。読むとそれはそれで興味深いけれど。

とせ file:1 ひよりのノートはまもさきもさく

…漫画。(意図的な?)分裂人格の少女ちとせとその友人ひよりの物語。自分の中に違う自分、「消してしまいたい私」が存在するという状況から抜け出した私は、照れくさいような、懐かしいような感覚を覚えた話。「生きるのには弱すぎた」から自分の一部を「殺す」というセリフを読んで、何か思い出せそうだけれど、出来ないでいる。

カラマーゾフの兄弟 あるいは文科系大人の逆襲 うらりあと愉快な仲間達

…遠目から見た表紙のキャラクターイラストに惹かれて。
カラマーゾフの兄弟」は以前読んでみようと思って、挫折した小説。
確か貧しい一家の主人に誰かがお金を恵んでやろうとしたけれど、主人が「手品を見せてやります」と言って投げ捨てたというところまでは読んだ。ずっと三人くらいでうだうだしゃべっていて、誰が誰だか分からなくなったせいもあったと思う。でもこの本のイラストとキャラの解説を読んだら今度は大丈夫な気がしてきた。古典は「文学」だと思うと敷居が高いと身構えてしまうけれど、もっと気楽に考えていいんだなあと思った。

minority マイノリティ 第二号

…イラスト、漫画、小説、詩と何でもありなミニコミ誌。合う合わないを考えるより勢いで読めてしまうなあと思った。電話代行バイトの体験談が面白かった。

minority マイノリティ 創刊号

…イラスト、漫画、小説、詩と何でもありなミニコミ誌の創刊号。共同生活の話が面白かった。寮の話は私もあるあると頷くことしかり。巻頭の一週間の詩も好き。(ポエムって言い方は何だか恥ずかしいので苦手)

Tea for you 猫春

…絵本風漫画。めるへんめーかーさんみたいなかわいい世界。文字をたくさんみていたから、ほっとした。

miuca vol.6 葉原あきよ

豆本の製作過程に惹かれて。どんな風に出来上がっていくのか、どんなことを考えているのか、そういうことを興味深く読んだ。

春夏休みの宿題 つまずかずにはいられない 葉原あきよ

…著者が白血病になったときの話。「感傷的」と書かれていたけれど、淡々とした印象を受けた。

汎用サーチライト 01

…アニメの映像に関する雑誌。蟲師の話が面白そうで手に取る。硬い文体が卒業論文を思い出させて懐かしい気持ちになる。「面白い」の一歩向こう側を教えてくれる話が好き。

汎用サーチライト 02

…上記の雑誌の2冊目。ブラックラグーンの話が読みたくて手に取る。思ったより文章量が少なかったけれど、分かりやすく、ぼんやりと思っていたことが言葉になって提示されていたので嬉しい。

ヒトツブドウワ
…封筒に入た童話。文学フリマの公式サイトっからサークル一覧を見ていたときに気になって、絶対ここには行こうと思っていた。辿り着いたときはどうも最後の一つだったようで、ちょっとした縁を感じる。
何の話が入っているか分からない封筒を買うという行動が、昔読んだ絵本とか児童文学を追体験するようで楽しかった。(異界からの招待状が届かないまま「大人」になってしまった私が少し哀しかったりするからだ)手書き風フォントの文章で書かれた中のお話も勿論良かった。(ちなみにカドの欠けた豆腐の話でした)

ヨルノハナシ 日下部綾

…夜の電車にまつわる短編集。夜の電車の不穏な感じがじくじくしみてくるような話。勤め始めた頃は電車通勤をしていたので、あのどこか薄寒い感覚を思い出す。

シダカナンダカ one original work

…詩集の佇まいに引かれた。本文の紙は真っ白よりもこの本みたいなクリーム色の方が目に優しいんだなあと思う。このクリーム(薄茶?)の紙から過去の言葉みたいな印象を受けた。「不在」の詩が好き。たったぽつりとした4行の言葉だけれど、強く刺さる。

稀人舎通信 2号

…エッセイと漫画と小説の雑誌。表紙の女の子の絵に見覚えがあったので、おやと思った。(顔のパーツの書き方が共通していたのでたぶんあってる)
「地上はことばで明るんで」の中の「今回はこれで」に何て言えばいいんだろう、そうそう、そうだよ思う。この世の圧力から早く降りたい。(感銘を受ける?何か違うな)

川口晴美 ミニ詩集

…これはおまけでもらったような。
詩と小説の違いは何だろうと、上下にびっしりと並ぶ文字を見て思う。これを詩だと認識すると、私はこれはキライと読み飛ばす。これは小説だと思うと、私はきちんと文字を追う。「東京」はずるい街です。「とうきょう」というだけで何か格好がつく。「名古屋」っていうと野暮ったいでしょう。マウンテンに登山して生クリームスパ食べましょう。()と「」はどう発音したらいいんでしょう。もっとどうしていいかわからない改行と空白がなくてよかった。手帖でよくあるそれはキライなんです。知らないから男の人は出てこない。そう出てこない。

comic reader for girls, boys, and grown-ups 2007-2008 少年と少女と大人のための漫画読本 2007−2008 野中モモ

…手にとってぱっと開いたところにジャバウォッキーの紹介が載っていたので。
あと、諸星大二郎須藤真澄の名前もあって、とっても嬉しい。
好きなものについてわいわい書いてあって読んでて楽しい一冊。

クローバーの花束 灰根子

…詩集。詩を読む時は、何となく、頭の中で音にしている気がする。自分で書くときはつーと文字を垂らして行って、書いてから黙読してみる。人によって、音律というか、テンポが違うというか、それの合う合わないで、好きかそうじゃないか私は感じるのだと思う。
灰根子さんのは3拍子の感覚。「追跡」が一等好き。

カミキレ 灰根子

…詩集。かみさまをテーマにしたもの。全部が繋がっているようで、全部違うカミサマなのかも。表紙の感じからか、次から次へ天使が自分のカミサマことを歌いながら落ちてくる、そんな感覚がする。「印」「薄暗い足元」が好き。

幻視コレクション 回廊文庫

…帰りがけにふと目に付いて、中をぱらっとみたら、「てのひら怪談」っぽかったのでこれだ!と思って買う。短編集は箱庭のようだと思う。一目で全景を見られるけれど、細部も見所がある。夢のような、日常から少しずれた世界の話は大好き。

cry for soul 居眠りの街

…水没した世界をテーマにした小説。ヨコハマ買出し紀行のもっとSFという感じ。争いとか生き延びることに必死という感じじゃなく、落ち着いて読める世界観がいいです。図書館のことが一等おもしろく読んだ。一緒にもらったクリックアドベンチャーのCDROMも面白かった。学校の中を印象のパーツを集めてまわる話が好き。

ゆううつ水よう日 速水筒

…短編集。「キス・キス・バン・バン」と「ぼくのスルーカ」が好き。てのひらサイズの本なのであちこち持ち歩いて読んでいる。

以上、本についての感想でした。そのほかには絵葉書と文字の大きさを測る定規を買いました。

・全体の感想
日が経っているのでだいぶ薄れてしまったけれど、会場はとにかく熱気がすごかった。
所狭しとサークルが並んでいるので見ごたえはものすごくあったと思う。
本当は全部をじっくり見て回れればよかったけれど、並んでる本の表紙(表紙は漫画絵が目を惹くけれど、人を選ぶなあと思った。)や売ってる人の熱気(売り子さんが呼び込みをしているのは初めて見た。楽しそうにやってたけど、男の人二人はちょっと怖かった。)に怖気づいて通り過ぎてしまったところもある。
あと、手に取ったものの、ちょっとこれは…と思って戻すときに罪悪感があった。(でも気持ちがささくれるので、恋愛系は読みたくないんだ。恋愛系以外にも、全然知らない分野の批評とか、難しすぎて分からなかったものがあった)
帰宅していろんな人の感想を読んだら、買い逃したものがちらほらあって、ちょっと悔やんだり、帰り際に出くわした突然演説した人の正体が分かったので一安心(?)
いろいろあったけれど、自分のアンテナを最大限に研ぎ澄まして、自分に良いものを選ぶという感覚は心地いいものでした。漫画なら絵の感じでぱっと選びやすいけれど、文章だと文体とかはすぐには判断できないので、表紙の感じとか、タイトルなんかで選んでみたけれど、概ねアタリだったので嬉しい。


・自分についてまとめ
(反省)
行き方や交通費なんかの調べればすぐ分かる事は行くと決めた日に調べておくこと
着ていく服は前日9時までに決めておくこと
前日は日付が変わる前に眠ること
お金は出来るだけ当日までに崩しておくこと
(次回もする)
お財布は二つ。小銭+千円用と虎の子+帰りの運賃
買ったものを入れる袋は二つ。白い動物のと鹿のと。(でもまちがあった方がいいかも)
(今後の参考)
チラシはA5を二つ折りにした物の方が一枚でぺらんとしてるよりくしゃくしゃになりにくい。買ったものに挟み易いし。
本はA5サイズが見栄えがするけど、文庫本サイズの方が後々読むときに楽…かも。
表紙は絵でなくても色とか構成とかで目を惹ける(と思う)絵の方がぱっと見られるけど好き好きがあるので。
印刷屋さん製でなくても表紙の紙を丈夫なのにすれば大丈夫(だといいな)

ポエケット(詩のコミケみたいなの)、豆本フェスタと行って、今回文学フリマに行ってみたら、普段は詩の周辺をもそもそ動き回っていて、そこが全てみたいに錯覚してしまうけれど、世界はなんて広いんだろうと思いました。狭い世界しか知らないと、見えてないと、天辺取らなきゃいけないような感覚になって書くことの意味が分からなくなるけれど、大事なのは、作りたいものを形にするってこと、それを続けることなんだろうと思います。ようはやるかやらないかの違いなので、形にすることをがんばらないと。

そういえば、同日にデザインフェスタもやっていたようで、行ってみたかったなあと思いました。
今度は出展してみたいと企みつつ、そうすると今回みたいに買い物できないだろうからジレンマを感じます。

文学フリマの感想はこれでおしまい。