よつばと! (6) (電撃コミックス)

よつばと! (6) (電撃コミックス)

楽しみにしていた新刊です。お話の世界が前巻までよりもずっと広がったような印象を受けるのは自転車が登場した効果でしょうか。最近は殺伐とした物語ばかり読んでいたので、のんびりした気分に浸れるのが新鮮です。
それでは各話の感想を。
・リサイクル
相変わらず、みうらちゃんは友達のジョン君に似ていると思います。宿題を面白くなさそうにやる顔が好き。
「ちょっとイライラした」の所、自分の感情をきちんと認識することはとても大切なことだと思う。ちゃんと認識できないと、解消することも出来ないだろうから、表出させることがいいのか悪いのかは場合によるけれど、その感情自体をなかったことにすると、自分というものがとても曖昧になると思う。
イライラ解消の方法として猫のマスコットを用意してあるのがとても可愛いです。
・じてんしゃ
風香ちゃんがよつばにも「いってきます」と挨拶しているところが好き。
家中のカレンダーをめくるよつばの姿に新しい月ってもっとずっと嬉しいものだったんだよね、と毎月毎月もう○月になったとばかり言う自分が身につまされる思いです。未来が疎ましくなった時点で子供ではなくなってしまったんでしょう。
ポタリング
ポタリングとは自転車でぶらぶらすることだそうです。私が小学校のとき土曜日に隣町を自転車でうろうろ探検していたのにはこういう名前があったのですね。知らなかった。
自転車の練習はもうっすら記憶にあります。補助輪なしで乗る練習を家の駐車場でやっていました。よつばが犬にも挨拶をしていたところが好き。
あさぎと虎子がでてくるけれど、よつばに対する視線というのはあさぎはペットとか面白生き物という感じで、虎子はあまり親しくない知り合いの人というあさぎとはちょっと違った見方をしていると思う。あさぎがよつばを構うというか弄るのは妹たちがいる関係で小さい人の扱いに慣れているからかな、と思う。虎子はなんとなくひとりっこな気がする。
ところで補助輪は車体の融通が利かないのであるほうが実は怖かったりします。(坂のところで車体ごと斜めになるとか)
・きんようび
夢の場面が奇妙で面白い。夢って記憶の整理整頓だというから、不条理なことも当然のように起こる。悪夢も起きて思い出すとぜんぜん怖くなかったりする。
家中に「忘れちゃいけないこと」を貼っている画が面白くもあり、一人遊びの寂しさみたいなものも感じる。開けたら閉めるとかの注意事項って書き出してみるとこんなにあるのかと思います。そういうことをぜんぶ書かなくても普通にできてる今ですが、子供という真っ白な状況にこれだけのことを教えるのってとても大変だ。
冷蔵庫の中のエクレアにとても感動するよつばちゃんをみて、ケーキを食べなれてしまった私はとても羨ましく思いました。今だっておいしいケーキを買って来たら、食べるまでわくわくしないことはないけれど、味は想像できてしまうから、きっとよつばちゃんが感じるおいしさには届かないと思う。
あ、よつばがみているテレビはピタゴラスイッチかな。
そういえば、ダイニングのイスはどこにいったんだろう。広々した景色が妙に寂しいと思う。よつばのルール(覚書の紙)で作られた世界でフローリングの床に座って、という画は、ともすれば置き去りにされた子供みたいで。(というのは他の人の感想を読んで思い立ったことかもしれない)
エクレアがないということを悟った父ちゃんの顔がとても怖い。相手が自分の罪に気がついて、でも何も言わないというのは、言葉で怒られるよりもずっと堪えると思う。(結局叱られる画がその後にないので私としては、いつまでも「いつ怒られるんだろう」という持続的な恐怖感が残りました。)
・ぎゅうにゅう
父ちゃんとよつばの感想の違いが、やっぱりよつば(子供)のほうがよりおいしさを感じられるんだと思いました。
就寝時間は何時だろうと思わずコマをじっくり見てしまいました。まずまず。欲をいうともう後一時間早いとベスト。
・はいたつ
よつばが標識を自己流に読むところで、近所にある標識についての自分の古い記憶を呼び覚まされました。その標識(交通安全啓蒙の看板だったかもしれない)には「ゆっくり走ろう」と書いてあったのですが、まだ「走」が読めなかった時分、私の中ではそれは「ゆっくりろう」という謎の看板だったのです。何度か母に読みと意味を聞いたのですが、漢字が読めるようになるまで、理解は出来ませんでした。
さて、本編。
風香ちゃんの高校が自転車でいける距離でよかったと安堵。
「くにがつくったにちがいない」のセリフ、風香に会えた時の机とかイスとかにぶつかって進むところ、風香が校門の所で寄よつばの自転車のベルを鳴らしている所なんかが好きです。
あと父ちゃんがよつばを叱るとき、顔を見て、足の傷を見て、という流れ、どれだけ心配したかというのが言葉で言わないところがとても良かったと思ます。拳骨をくらって大泣きしながらそれでも父ちゃんの後について帰るよつばが愛しいです。
・ほんだな
やんだ再び。やんだはよつばに一番意識が近い人だと思う。「ここか」「ちがう!ここ!」のやりとりがとても好き。
そういえば、この回のハンバーガーとか牛乳の回の表紙とか、市販されている商品そのままの名前が出ているのがなんだか不思議でした。(漫画だとなんとなく伏せられたり、パロディみたいになってるものだと思っていたので。)テレビじゃないから宣伝になってもいいのかな。

そんなこんなで今回も面白く読みました。ぜんぶについての感想はなかなか楽しくも骨が折れました。(途中で一度変なところを押してしまって、危うくぜんぶ消えてしまう所でした。ぎりぎりコピーが間に合って良かった…)