電車に乗りながら、ぼんやりとこのあいだ読んだ「からくりからくさ」の解説のことを思い出していた。
「絆の強さは手仕事にある」という箇所が少し引っかかっていて、手仕事というのは手芸のことばっかりに思えてしまっていたのだけれど、はたと主婦業がそれにあたるんじゃないだろうかと気がついた。文化系雑誌で”ていねいなくらし”(私はこの言い方が好きでない)としてリネンやらロハスやらとかが紹介されているのをみて、そういう暮らしでない自分や家を恥ずかしく思ったりすることがときたまあるのだけれど、生活者たるのは本当はそんなに特別なことでないと私はそのとき思った。
高校生だった一時期、北海道旅行の折に修道院の見学をして、私はキリスト教にはあまり共感を覚えないのだけれど、神様に自分の生活を捧げるというストイックで一種自虐的な一生に憧れを持っていた。真摯に生きるというのが当座の目標だと思う。