そして人生は続く

ハチミツとクローバー 10 (クイーンズコミックス)

ハチミツとクローバー 10 (クイーンズコミックス)

もっこさんの日記を読むまで発売を知らずにいました。とうとう最終巻です。本編と番外編と、短編2つが収録されています。
ハチミツとクローバー
卒業はそれだけだとゴールに見えるけれど、長い目で見れば通過点だったな、と学生時代を振り返って思いました。
どの人にも不安材料が残って、結末が描かれないというところがなんだがとてもリアルでした。生きている間は「めでたしめでたし」で終わる事はなくて、何か出来事があっても次の日からは生活が始まるのだと思う。一定の期間同じ空間と空気を共有していた仲間が会えなくなるわけではないけれど離散する、というのは私にも経験があるので、いろいろ琴線に触れる漫画でした。
旅立って行く先が首都じゃなくて地方へ、という展開はなんだか新鮮な気がしました。
竹本くんが下宿先を出て行くところで部屋に頭を下げるシーンが自分のときとだぶってスイッチが入り、はぐちゃんの餞別で雪崩ました。物語を読んで、というか、泣くこと自体久しぶりでした。
そいうえば、タイトルはお餞別から来てたんだ、と読み返して気がつきました。
「番外編」
わいわいにぎやかな初期の雰囲気。でも最終回を読んでいるだけにより「過去」な感じで逆に寂しいです。
短編「空の小鳥」
ハチクロとはまた違った味わいの話。途中まではナオコ寄りだったけれど、「言う前にあきらめて〜」のところで、どっちが悪いとは言えなくなってしまった。「言わないことは耳に入らないのだから理解される訳がない」という言葉を思い出します。*1
短編「空のオペラ」
SFがとても新鮮。何かの本で留学生の男の子が日本の縦書きの文章を指して、雨が降っているようだと形容した、というのを読んだのだけれど、分からないということがうまく使われてて涙ぐみつつ面白いと思ったのでした。あの道具だ!と分かったときにぼろ泣きしました。
道具というお話作りのヒントがあるけれど、作る人によってはこんなにすごい作品になるんだなあとじみじみ。
新作が今からとても楽しみです。

オリガ・モリソヴナの反語法 (集英社文庫)

オリガ・モリソヴナの反語法 (集英社文庫)

ロシアに興味を持つきっかけになったのが、この人のエッセイでした。物語はまだ読んだことがなかったので少し前に買って、とても面白く、もりもり読んでいたのですが。が。終盤の××氏のくだりがものすごく嫌だったので、現実としてそういうこともあるだろうとは思うのですが、私にはきつすぎたため、たぶん、もう読み返すことはないと思います。謎解きの部分にひきつけられただけにそういう瑣末にひっかかってしまう自分がとても残念です。でも別の作品「嘘つきアーニャ」はとても気になるので図書館で借りてみたいと思います。

宗像教授伝奇考 第2集 (潮漫画文庫)

宗像教授伝奇考 第2集 (潮漫画文庫)

諸星大二郎氏に似ているという話をどこかで読んで気になっていた折、古本屋さんで見かけて購入。
伝説や伝承を題材に展開する話は読み応えがあって面白かったです。これからあつめる楽しみができました。
1,2巻と買ったのですが、この2巻の解説を書いているのは大学のとき漫画論の講義を受けた竹内先生だったので、ちょっとびっくりしました。(大学名が違うのは、私の行っていたところに講師として来ておられたせいかな)
こういう日本の伝説を取り扱ったものを読むと、神話とかを読んでみたくなります。

漫画の解説に講義を受けた先生の名を見つけたことと、ハチクロを読んだことで、大学時代の授業ことをいろいろ思い出したのですが、相互影響といえば モフセン・マフマルバフ監督とアッバス・キアロスタミ監督がそうだった、と映画論での知識がふと浮かんだので、日記に覚書の意味も込めてどっちかの*2監督の映画のタイトル「そして人生は続く」としました。

*1:きんぎんすなごわかつきめぐみ

*2:後で調べてみたら、キアロスタミ監督のほうでした。