夜中に本を読んでいました。

水鏡綺譚

水鏡綺譚

沢山のエピソードを重ねた、別れの物語でした。以前なら最後まで書かずに途中で終わって欲しかったと思うところですが、多分私が別れに耐えられるよう成長したのだと思います。どれも魅力的な話でしたが、特に「水の底の紅」「空ゆく雲」が好きです。「水の底の紅」は、鬼の話だと思った。憎しみを知った乙女が自分で自分に紅を買うと宣言したところが美しい。「空ゆく雲」は台詞のない情景。一番悲しい気がした。あと、比丘尼の話も好きだった。罪の権化は無垢なものと同じ、そんな気がした。
作品の表現の方向は違っても、流れている空気はヨコハマ買出し紀行と同じ感じ。ひょっとすると読む先から流れて行ってしまうような話だけれど、ぼんやりとだけれど確かに残る感じがするのです。
少女の体がふっくらしていてとても素敵。
面白い物語がまだまだ存在していることが嬉しいです。すすめてくれたEちゃん、ありがとう。

耳の散歩 (眠れぬ夜の奇妙な話コミックス)

耳の散歩 (眠れぬ夜の奇妙な話コミックス)

久しぶりに読んだ漫画です。これも短編を集めたもの。四角い単調なコマ割が逆にとても新鮮だと思う。この森雅之さんという人はMOEという絵本なんかの紹介雑誌で小学生の頃、作品に出会ってからずっと好きな作家さんです。センチメンタルなものだけれど、さらっとしているのです。懐かしいような新しいような不思議な印象がある作家さん。(私が古いのかもしれない)母は好きではないようで共感されなくて寂しい。
「夜のメモ」さみしいものの話。私の一番初めに作った絵本の展開はここから影響をうけていたんだ、と思い出しました。小説の中の一人称の絵がとても好き。
「グレープキャンディ」夢の中でのキスの話。「いっぱい触っても平気だった」のところが好き。

幽 2006年 第4号

幽 2006年 第4号

相変わらず怪談話が(怖いくせに)好きで購入しました。高橋葉介さんの漫画のエロティックな妖しさとても堪らないです。あとは加門七海さんの連載がいつも面白いです。